稲井法律事務所

ご質問・ご相談

クーリングオフ

Q クーリングオフとは何ですか。

 クーリングオフとは、消費者が事業者との間で申込み又は締結した契約を、一定の期間内(多くは8日間)であれば、無理由かつ無条件で撤回・解除できる権利のことを言います。

当事者間で締結された契約は、詐欺などの一定の理由がない限り一方的に解消できませんが、訪問販売や電話勧誘販売など、消費者が不意の訪問や電話を受けて勧誘されたりすると、よく分からないまま、ついその気になって契約をしてしまうことがあるために、その契約が適法・有効であったとしても、消費者に頭を冷やして再考する機会を与え、一方的に契約を解除できることとされたのです。ですから、クーリングオフが認められるのは、特別に法律に定めがあるか、業者が自ら契約上定めた場合に限られます。なお、騙されて契約したときは、別途、民法や消費者契約法等の制度で契約を解消することができます。

Q どのような法律にクーリングオフが定められているのですか。

 「特定商取引に関する法律(平成20年に改正)」に、訪問販売や電話勧誘販売、エステ・語学教室等の継続的な契約、内職・モニター商法やマルチ商法の契約等について定められています。その他、割賦販売法、宅地建物取引業法、保険業法、金融商品取引法、不動産特定共同事業法、特定商品等の預託等取引契約に関する法律などにも規定されています。

Q 訪問販売や電話勧誘販売であればどんな契約でも解除出来るのですか。

 消費者保護の必要性が少ないものについてはクーリングオフはできません。例えば、営業上の取引や、3000円以下の商品の売買、自動車など熟慮して購入する商品の売買、健康食品や化粧品などの指定消耗品を使用してしまった場合などはクーリングオフは出来ません。

Q クーリングオフで契約を解除するにはどのようにすればよいのですか。

 定められた期間内(多くは、契約書面を受領した日から数えて8日間。但し、取引内容により10日間、14日間、20日間などもある)に業者に対し文書で契約を解除する旨の通知を発する必要があります。

Q 通信販売でもクーリングオフはできますか。

 通信販売では、広告・DM、テレビやインターネットの説明等を見ながら、消費者自らの自由な意思で商品購入を決定し、不意打ちの危険が少ないためにクーリングオフは適用されません。通信販売では、業者が広告に表示した返品特約が有効とされ、広告に「返品不可」「到着後〇日以内に限り返品可」「使用前に限り返品可」等と表示されているときはそれが適用されます。しかし、返品特約の表示がないときには、クーリングオフに準じて、商品の引渡を受けた日から起算して8日間は契約の解除ができます。但し、返品のための費用は購入者の負担となります。

Q クーリングオフのことについて詳しく知るためにはどうしたらよいですか。

 良く考えずに契約してしまった場合にはクーリングオフできる可能性がありますので、急いで弁護士等の専門家や各地の消費者相談センターに問い合わせて下さい。又、インターネットで検索すれば概要が分かります。書籍では、消費者庁・経産省の「特定商取引に関する法律の解説」(商事法務刊)に詳しく解説されています。