稲井法律事務所

ご質問・ご相談

特定商取引法の改正

Q特定商取引に関する法律が改正されたと聞きました。

A特定商取引法は何度か改正されていますが、今回の改正は、平成20年6月に公布されて、平成21年12月に施行されました。

Q今回の改正では、どんな点が変わったのですか?

Aまず、指定商品・指定役務制が廃止されて、原則として、すべての商品又は役務につき、特定商取引法の訪問販売法等に係る規制及びクーリング・オフ(法定書面を受領した日から起算して八日間、法定書面を受領していなければ無期限)の対象になります。
 また、クーリング・オフを行使した場合、すでに引き渡された商品を使用していたときや、役務の提供がなされていたときでも、販売業者は商品の使用により得られた利益に相当する金銭を、役務提供事業者は役務の提供の対価を請求できないことになりました。

Qクーリング・オフがしやすくなるのですね。他の改正点も教えて下さい。

A訪問販売では、再勧誘禁止規定がもうけられ、①相手方の勧誘を受ける意思の事前確認の努力義務、②契約を締結しない旨の意思表示をした相手方に対する、その場での勧誘の継続や再訪による勧誘の禁止が規定されました。
 この規定の運用の透明性や販売業者の予見可能性を確保するため、「運用指針」が定められています。

Q執拗な勧誘・販売行為による被害をなくすための規定ですね。
Aそうです。他には、訪問販売に関して「過量販売解除権」が、通信販売に関して「返品特約に係る解除権」が新に定められました。

Q過量販売解除権はどんなものですか?

A訪問販売において、事業者の一回の販売行為等による販売量が通常必要とされる分量等を著しく超えた契約である場合(過量販売)や過去の消費者の購入の累積から、ある事業者の販売行為等が結果的に必要とされる分量等を著しく超える契約になること、あるいは既にそのような量を超えた保有状況の消費者であることを知りつつ販売等を行う場合(次々販売)には、当該契約の締結を必要とする特別の事情がない限り、契約締結後一年間は契約の解除ができる、というものです。

Q通信販売についての返品特約に係る解除権はどんなものですか?

A通信販売において、事業者が契約の解除等につき特約(返品特約)を公告に表示していない場合に、商品の引渡しから八日間は契約の解除ができる、というものです。
 契約を解除した場合、返品のための送料については、購入者の負担となります。