稲井法律事務所

ご質問・ご相談

消費者契約法

Q 消費者契約法が平成13年4月1日から施行されたそうですが、どんな法律ですか。

A 消費者が日常生活に必要な商品やサービスを購入するとき、事業者との間には商品やサービスに関する知識や情報あるいは交渉力において大きな格差があるので、消費者と事業者とが対等な立場で契約を締結できるように作られた法律です(1条)。

Q そのために具体的にはどのような規定が盛り込まれていますか。

A 不当な勧誘による契約は取消せますし(4条)、不当な内容の契約条項は無効になります(8条)。

Q 不当な勧誘による契約の取消とはどんなことですか。

A 事業者の①「不実の告知」、②[断定的判断の提供」、③「不利益事実の不告知」によって消費者が誤信したとき、および④「不退去」、⑤「退去妨害」によって消費者が困惑したとき、契約の申込みや承諾の意思表示を取消せます(4条)。

Q 取消権はいつまで行使できますか。

A 消費者が事業者のこのような行為によって契約させられたことを知った時から6か月間、契約を締結した時から、5年間は取消せます(7条1項)。

Q 次に、契約が無効になるときは。

A (1)事業者が契約上の義務を怠った場合、過失に基づいて他人の権利や利益を侵害した場合、商品に瑕疵(欠陥)があったことにより消費者に損害が生じた場合の各損害賠償責任を全部免除する条項は無効です。(2)そしてこれが事業者の故意または重大な過失による場合は、損害賠償責任を一部免除する条項でも無効になります(8条)。

Q 欠陥商品による損害についての免除規定が無効にならない場合があるそうですね。

A 商品の欠陥による損害の賠償責任は、事業者が交換または修理責任を負う場合、または、事業者と第三者との間の契約で第三者が責任を負う場合には、事業者の責任を免除する条項があっても無効になりません(8条2項1号・2号)。

Q 他に無効となる場合がありますか。

A ①契約解除の際に消費者が支払うべき賠償金や違約金が、平均的な損害額を超えるときは、その超える額は無効です(9条1号)。②支払期限後の遅延利息については、年14・6%を超える額は無効です(9条2号)。但し、金銭消費貸借には適用されません。利息制限法4条が優先し、例えば元本10万円未満の場合は上限が29・2%となります。③民商法等の任意規定による場合に比べて、消費者に不利な条項であって、信義誠実の原則に反し、消費者の利益を一方的に害する行為も無効です(10条)。

Q クーリングオフはできませんか。

A 消費者契約法にはクーリングオフの規定はありませんが、他の法律をすべて併用できますから、特定商取引法(旧訪問販売法)が適用される場合ならクーリングオフにより解約できます。