稲井法律事務所

ご質問・ご相談

生命保険金を活用した相続対策

Q よく、生命保険が相続対策に役立つと聞くのですが教えて頂けませんか。
A 4つの対策に役立ちます。①認知症リスク、②争族対策、③節税対策、④納税資金対策、分割調整資金対策です。
 まず認知症リスクの対策ですが、保険契約をする時期は認知症になる前ですから、一定の金額を特に優遇したい相続人に残すことが出来ます。遺言もこれと似た手段ですが、生命保険は契約に基づく権利で遺産分割の対象となる財産ではないので、受取人指定を除き遺言には書かないのが原則です。
Q 次の争族対策は。
A まず、生命保険金は遺産分割の対象とならない財産ですので、一定の控除を後の保険金は、相続税の対象にはなっても遺産分割や遺留分計算の際の持ち戻し財産にならないことです。相続放棄しても受け取ることが出来ます。契約後、契約者が受取人になる変更をしても、財産的に意義のあるものではないので、当初契約者が死亡しない限り課税関係が生じず、新しい契約者が毎年非課税限度で解約するという方法がとられます。分割の対象外ということは、結果的に法定相続分や遺留分額が低くなります。
 配偶者は令和2年の施行で亡くなった配偶者の建物及び敷地の相続では配偶者居住権という占有権(登記できる)が認められましたが、生命保険金は配偶者として配偶者保護を図ることも出来ます。
Q 節税対策としてはどういう面か。
A 非課税率を利用できます。500万円×法定相続人の数が非課税枠です。従って法定相続人でない人が遺贈で貰ったものや、相続放棄した人が生命保険金を受け取っても非課税枠の適用はありません。また遺産分割での相続人としては養子が何人いても相続人になりますが、相続税の非課税枠場面では被相続人に実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人までとなっています。
Q 納税資金対策、分割調整資金とは。
A 相続財産に不動産があるような場合多くの相続税がかかりますが、現預金はそれ程ないのが普通で、生命保険金があれば借入したり不動産を安く売却したりせずに納税できます。また、不動産や株の分配で不公平を調整したり遺留分侵害額を払う場合、保険金があれば支払うことが出来ます。