稲井法律事務所

ご質問・ご相談

事業承継対策

事業承継対策
Q 事業承継では、税制上の優遇措置があると聞きました。
A 会社の次世代に存続させるためには、個人所有の株式を相続人等に承継させ、会社の運営を任せる必要があります。そこで、先代経営者の所有していた非上場株式の会社株式の移転において、一定の要件を満たすことにより、贈与税や相続税の納税猶予及び免除を定めています。
Q どんな内容ですか。
A ①贈与税については、総株式数の最大3分の2までを対象株式として、担保提供により、100%の納税が猶予されます。但し、先代経営者である贈与者や後継者である受贈者についての各要件、雇用確保要件を満たし、かつ、贈与税を申告し、猶予期間中は、継続届出書を提出する必要があります。 その上で、先代経営者もしくは後継者が死亡した場合等は納付が免除されます。
②相続税については、総株式数の最大3分の2までを対象株式として、担保提供により、80%の納税が猶予されます。 但し、先代経営者である被相続人や後継者である相続人についての各要件、雇用確保要件を満たし、かつ、相続税を申告し、猶予期間中は継続届出書を提出する必要があります。 その上で、後継者が死亡した場合等には納付が免除されます。
③以上は一般措置ですが、会社の後継者や承継時までの経営見直し等を記載した「特例承継計画」を策定し、認定経営革新等支援機関(税理士、商工会、商工会議所等)の所見を記載の上、令和6331日までに都道府県に提出し、その確認を受けることにより、以下のア~ウ等の特例措置の適用を受けることができます。
ア 対象株式が全株式になります。
イ 相続税について、100%の納税が猶予・免除されます。
ウ 事業の継続が困難な事由が生じた場合の納付の免除。
 この特例措置の適用を受けるためには、令和91231日までの間の贈与・相続であることが要件となります。
Q 事業承継の場合、被相続人(先代経営者)について相続が発生後に、株式を承継しない相続人は遺留分侵害額請求権を行使できますか?
A 行使できる場合があります。その点からは、事業承継では、税制上の優遇措置を活用することのほかに、遺留分対策を取ることが必要です。
Q どのような対策がありますが?
A 被相続人の生前に株式を特定の相続人に贈与したときは、遺留分を有する相続人に遺留分を放棄してもらうことが考えられます。この場合、相続開始前に、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
 また、株式の生前贈与後に推定相続人の間で、固定合意(遺留分算定の基礎財産の参入する格式会社の除外する合意)や除外合意(家留分算定の基礎財産から会社株式を除外する合意)をすることにより、遺留分算定の基礎財産を減縮することも可能です。この場合、合意後に⑴経済産業大臣の認定と⑵家庭裁判所の許可を得る必要があります。