相続手続総ざらい
1 被相続人の方がお亡くなりになった場合、7日以内に所属市役所又は区役所に死亡届を提出します。
2 次に遺言書があるか確認し、ある場合、遺言内容の執行を行います。
3 被相続人に債務が多い場合、3ヵ月以内に相続放棄又は限定承認(相続財産の範囲で債務を弁済する手続)を家庭裁判所に届けます。相続人各人が出来ます。
4 被相続人の準確定申告(生存期間の所得税)を4ヵ月以内に行います。
5 その次に、遺産が何と何かを整理し、その評価(遺産分割の場合、時価)(相続税の場合、土地は路線価、建物は固定資産評価額)をします。
名義借りの預金や動産の貴金属などで相続財産かどうか争いがある場合、相続財産確認訴訟を行います。但し、遺産分割には寄与分の確認や生前贈与等の特別利益の持戻しについて確認訴訟は出来ません。それらは調停及び審判のときに主張します。
6 相続財産が何か決まったら、遺産分割協議に入ります。当事者間で話がまとまらない場合、調停及び審判に進みます。
7 相続税の計算をします。基礎控除は三千万円+六百万円×法定相続人です。生命保険金及び死亡退職金は、相続でなく契約に基づく請求権ですから、遺産分割の対象になりませんが、相続税の場合、定められた一定額以上は対象になります。要旨は遺産分割の場合全員当事者となりますが、相続税の場合、養子は基礎控除の対象になるのは実子がいる場合一人まで、実子がいない場合二人までとなっています。又、小規模宅地(以下の表)で評価減の計算が出来ます。
土地の種類 限度面積 減額割合
特定居住用住宅等 330㎡ 80%
特定事業用宅地等 400㎡ 80%
特定同族会社事業用宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 200㎡ 50%
8 次に相続税の申告、納税をします。死亡後10ヵ月以内にしなければなりません。遺産分割の調停中で間に合わない場合、とりあえず法定相続分で申告し、協議成立後、修整申告をする方法があります。
9 2024年4月1日から、不動産について三年以内に相続登記しないと10万円以下の過料に処せられることになりました。調停中で延期してほしい場合、その旨届出します。
10 調停、審判では寄与分と生前贈与の持戻し請求が出来ます。二千五百万円以下なら贈与税を相続時精算課税の申告が出来ます。生前贈与の特別利益の持戻しは、遺留分の計算では10年前までですが、その他の遺産分割では判明できる資料があれば何年前でも構いません。
11 高齢化に伴い、認知症への対策も必要です。認知症になると、遺言書の作成や不動産の売却が出来なくなるので、認知症になる前に家族信託を結び、遺言をしておくこと、認知症になったら後見人の選任申立をして、一定の手続ができるようにしておく必要があります。