共同親権
Q これまで、離婚時には父母の一方のみを親権者と定める単独親権の制度であったのが、新たに共同親権の定めもすることができるようになると聞きました。
A 令和6年5月に成立した民法等改正による制度で、令和8年6月までに改正法が施行されます。
Q この制度では、離婚時に共同親権にするのか、どちらの単独親権にするのかをどうやって決めるのですか?
A 協議離婚の場合、離婚時に双方の協議により親権者を決めていましたが、新制度の導入後も同様に、離婚時の協議により、①共同親権にするのか、単独親権にするのか、②単独親権の場合、どちらを親権者にするのかを決めます。
Q 協議が整わない場合や裁判離婚の場合には、どうなるのですか?
A その場合には、家庭裁判所が必ず父母の双方から意見を聴いた上で、父母の関係、父母それぞれと子供との関係等の事情を考慮した上で、子供の利益の観点から、上記①②を定めます。但し、ア)虐待のおそれがある、もしくは、イ)DVのおそれその他の事情で共同して親権を行使することが困難であると認められるときが単独親権の定めがなされます。
A 家庭裁判所に請求して変更することが可能です。この場合、改正前は、・一方の単独親権→他方の単独親権という変更のみでしたが、
改正後は、・単独親権→共同親権 ・共同親権→単独親権
という変更もあることになります。
Q 改正前に離婚して単独親権の定めをしている場合でも、変更は可能ですか?
A 申立により、・一方の単独親権→他方の単独親権という従前からの変更は当然ながら、施行後は、・単独親権→共同親権という変更も可能です。
Q 共同親権の場合には、具体的にどのように親権を行使するのですか?
A 原則として父母が共同で行使しますが、一方が行使できないときは他方が行使しますし、ア)監護教育に関する日常の行為をするときや、イ)子供の利益のための急迫の事情があるときは、単独で行使できます。
Q 「監護教育に関する日常の行為」とは何でしょうか?
A 食事や服装の決定、習い事、短期間の旅行、重大でない医療行為、通常のワクチン接種等が該当します。
Q 逆に「監護教育に関する日常の行為」でない行為は何でしょうか?
A 子供の転居、進学先や就職の決定、財産の管理、重大な医療行為等が該当します。
Q 「子供の利益のための急迫な事情」とは何でしょうか?
A DVや虐待から避難する行為(この場合は「子供の転居」も可能になります。)や緊急の医療行為等です。
Q 離婚時に共同親権にした場合でも、子の監護はどちら一方が行うことが多いと考えられますが、実際に監護している方の親権者に特別な権限はないのですか?
A 共同親権の場合でも、双方の協議ないし家庭裁判所の定めにより、一方の親権者を監護者としたときには、監護者は単独で、子の監護・教育、居所の指定(どこに住むか)、営業許可を行うことが可能であり、他方の親権者はその決定を妨げてはならない、とされています。監護者を定めることは必須ではありませんが、定めた場合には、強い権限があることになります。