稲井法律事務所

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マンション相続評価額の上昇について

マンション相続評価額の上昇について
Q 新聞で令和6年1月1日以降に相続・遺贈又は贈与により取得するマンションの評 
 価が大幅に上昇すると書いてありましたが、どういうことでしょう。
A 従来、相続税におけるマンションの評価方法については、市場価格と相続税評価が
 大幅に(ひどい場合3倍)異なるということで、不公平感があり、それを是正しよ  
 うというものです。
Q すべてのマンションが評価替えになるのですか。
A 違います。次の要件に従います。
 ア  区分所有者が有する家屋で、地階を除く回数が2以下のもの及び専有部分の
   一室の数が3以下であってその全てを当該区分所有者またはその親族の居住の
   用に供する目的で所有しているものを除く
 イ  一定の区分所有権等に係る区分所有権及び敷地利用権の評価水準が次のいず
   れかに該当すること。
    ⒜1を超える。(評価水準が100%となる層)
    ⒝ 0.6未満の場合(評価水準が60%となる層)
  つまり、評価水準(通達評価額÷市場価格)が60%から100%の範囲内のものは
  適用されません。最も影響を受けるのはタワーマンションで、しかも築浅で高層
  階にあるものです。大都市のマンションの評価額は最低評価水準である市場価格
  の60%を下回るのでほとんど適用されます。
Q 評価乖離離率の算出方法は
A 評価乖離率=A+B+C+D+3.220で、
  Aは、当該一棟の区分所有建物の築年数 
  Bは、当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階
  Dは、一室の区分所有権件等に係る敷地持分狭小度×1.195
 これは当該一室の区分所有権等に係る敷地面積を当該一室の区分所有検討に係る敷 
 地面積を当該一室の区分所有権等に係る専有部分の面積で除した値(小数点以下第 
 4位を切り上げる)です。
Q 評価乖離率が分かったら評価方法はどうするのですか。
A 一定の区分所有権等に係る区分所有権及び敷地利用権の評価水準が1を超える場
 合課税庁の発表による市場価格と一致する一定の区分所有権等に係る区分所有権 
 及び敷地利用権の評価水準が0.6を下回る場合、区分所有権及び敷地利用権の別に課
 税庁の発表する市場価格の60%とする。
Q 難しくてよく分からないので、具体的に示して下さい。
A 前提を都心の37階建ての7階建てのタワーマンションの27階7階部分の住所、築
 14年、専有部分の面積70㎡、通達評価額:敷地利用権25,354,000円、区分所有権 
 14,500,000とします。
 評価乖離率は、
  A+B+C+D+3.220=3.244(ABCDは3番目のQの回答)
  A→14年×△0.0033=△0.462
  B→1×0.239=0.239(27÷32)
  C→27階×0.018=0.486
  D→14㎡×70㎡×△0.239
 評価水準は、0.3082(1÷3.244)
 敷地利用権の価格 25,354,000円×3.244×0.6=49,349,025円
            (通達評価額の1.946倍)
 区分所有権の価格 14,500,000円×3.244×0.6=28,222,800円
            (通達評価額の1.946倍)
これが計算例で敷地利用権と区分所有権の価格を足すことになります。