Q 平成12年4月から、成年後見制度ができたと聞きましたが、それはどのようなものですか。
A 主に高齢者の権利を保護するために作られた制度です。痴呆などにより自分の財産を管理できなくなった人に対して手助けをしてくれる人を選ぶ制度です。従来は、禁治産と準禁治産という2種類の制度がありましたが、これらの制度に代わって、後見・保佐・補助という3種類の制度を設けると共に、新たに、任意後見制度が創設されました。
Q 新しい制度の概要を説明して下さい。
A 既に判断能力が衰えてしまった人に対しては、家庭裁判所の審判により、その程度が重い人を成年被後見人とし、中程度の人を被保佐人とし、軽い人を被補助人として、それぞれ、成年後見人、保佐人、補助人が付されます。
判断能力がある人が将来に備えて自分で予め代理人(任意後見人といいます)を選任しておこうというのが任意後見制度です。
成年被後見人は、日用品の購入その他 日常生活に関する行為以外はすべて成年後見人が代理します(本人が行った場合は取消の対象となります)。
被保佐人は、一定の重要な財産上の行為を行うについては保佐人の同意が必要であり(同意を得ずに行った行為は取消の対象となります)、又、当事者が選択した特定の法律行為について保佐人に代理権が与えられる場合もあります。
被補助人は、当事者が選択した特定の法律行為、例えば、預金の管理、不動産 その他の重要な財産の処分、介護契約等について、家庭裁判所の審判により補助人に代理権又は同意権・取消権の一方又は双方を与えるというものです。
任意後見人は、公正証書で契約された内容にしたがって本人を代理します。
Q 従来の制度を改正したのには何か理由があるのですか。
A 従来の禁治産と準禁治産の制度では鑑定をするために数10万円の費用が必要であるとか、戸籍に記載されてしまうといった利用しずらい面があったために、今後の高齢社会への対応や障害者福祉の充実という観点などから利用しやすい制度にしようということで改正されたのです。
Q 新しい制度ではそれらの不都合は取り除かれたのですか。
A 費用の面で従来より利用し易くなるようにと工夫されていますし、戸籍に記載される代わりに登記制度が新設され一定の関係者のみに開示されることとなるなど、多くの面で改正がなされています。
Q 任意後見人を選ぶ手続は?
A 必ず、公正証書による必要があります。
そして、自分の判断能力が低下したときには任意後見人として、自分の生活・療養監護及び財産管理に関する事務の一切又は一部について代理権を与える、そして、その効力は家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時からである、ということを公正証書に明記しておかなければなりません。