Q 新聞で三角合併という言葉を目にするのですが、どんなものでしょうか。
A 三角合併とは、企業合併の方法のひとつで、吸収合併を行う際に使われる手法です。親会社Aが子会社Bに対し、吸収される会社Cの株主に対する合併対価として、親会社の株式を付与、その株式をCの株主に交付する。CはBに吸収されると同時に、Cの株主はAの株主になるという仕組みで、この三社の関係から三角合併と名づけられています。
Q どんな問題があるのですか。
A 平成18年の会社法の施行時、認められる予定だったのですが、三角合併により外資の敵対的買収が増え、日本企業が圧倒されてしまうと懸念され、1年先送りになり、平成19年5月から解禁されます。
日本のトップ企業でも、外資系のトップ企業に比べると時価総額が低い、優れた技術を持ちながら、時価総額が低いことから、外資系企業にとって日本の株式市場は非常に魅力的なマーケットで、ねらわれやすいということが延期の原因でした。
Q 三角合併だとそんなに簡単に外資にのっとられるのでしょうか。
A 三角合併には、当事者間で、合併契約などの締結が必要です。さらに吸収される会社の株主総会の議決権の3分の2の特別決議が必要なので、そんなに簡単に賛成が得られないという意見もあります。
又、ドル建ての株式を株主が受け取る場合、外国証券口座の開設が必要になるので、外資系企業が目本の株式市場に上場していないと難しいという問題もあります。しかし、今後は外資系の子会社が、日本の株式市場に参入し、まず現金で合併しようとする会社の株式の敵対的株式公開買付けを行い、株式の過半数を得てから残株につき三角合併に持ち込むというケースが増え、日本経済へ影響してくると思います。
Q そのような攻勢にあわないためにはどうしたらよいのでしょう。
A 問題は、日本の企業の中で良い技術を持っていて、自動車や電機の部品として必須のような企業が狙われるのですから、株価を上げて買収されないよう配当率を上げる、余剰資金が出れば自社株買いを行って、一株当りの価値を高める。
そうしたことで普段から、一般株主からの信認をとりつけておき、外国企業や投資ファンドから敵対的買収提案があった際には、一般株主に買収案に反対してもらうというインセンティブをあたえておくことが大事です。
Q 技術のある企業がそうした対策をとると考えると、狙われそうな会社の株価は上がるということでしょうか。
A 一般的にはそういわれています。医薬品や家電業界、鉄鋼業界、食品業界、小売業界などの動きには注目しなければなりませんが、証券投資をする場合には三角合併の仕組みを充分勉強しておく必要があります。