稲井法律事務所

ご質問・ご相談

新会社法における株式譲渡制限会社の特則

Q 商法が改正され、会社法となり、平成18年5月から施行されるそうですが、非公開会社には、どんな改正ポイントがあるでしょうか。
A 株式譲渡に取締役会の承認を要する会社を非公開会社といいますが、新法では全部は勿論、一部の株式についてだけでも譲渡制限を設けることができることになりました。
 なお、従前株式の譲渡制限があった会社は、何らかの措置をとらなくとも、定款で当該株式の取得について会社の承認を要する旨の定めがあるものとみなされることになりました。
 非公開会社は、株券の不発行が原則となりますので、株券を発行する場合、発行することを定款で定めなければなりませんが、従前、発行していた会社は、経過措置で株券を発行する旨の定めがあるものとみなされます。

Q その他にはどんなものがありますか。
A 取締役の資格を株主に限る旨定めることができますし、取締役や監査役の任期を10年まで伸長することができます。
 又監査役の権限を会計に関するものに限定し、業務監査をしなくてもよくすることができます。

Q 株主の権利についてはどうでしょうか。
A 従前は、株主は平等に扱わなければならないとされていましたが、非公開会社では、①剰余金の配当、②残余財産の分配、③株主総会において議決権を行使することができる事項、について株主ごとに異なる取り扱いをすることを定款で定めて行うことができます。
 創業者の配当は、他の人の2倍にするとか、株主全員同額配当とか、ある株主は議決権を行使しないとかのことで、属人的なので、その株を承継した人に効力は及びません。上記の3つ全部を1人に制限することは出来ません。
 こうした株主を種類株主と言いますが、定款をこのように変更する場合の株主総会は、総株主の過半数の出席で総株主の4分の3以上の多数で可決します。

Q その他にどんな規定がありますでしょうか。
A 定款で株主総会を譲渡制限の承認機関にしたり、特定の属性(社員以外等)をもつ者に対する承認機関を代表取締役にすることができます。
 又、定款で定めることにより、既存株主への譲渡や従業員への譲渡の場合、承認したものとみなすこともできます。

Q 株式を相続した者に対してはどうでしょう。
A 新法では、公開会社では、会社が特定の者から自己株式を取得するとき、他の株主は売主追加請求権が認められますが、非公開会社では、相続その他の一般承継(売買の如く意思が介入する場合でない)により、株式を取得した人に対し、相続があったことを知った日から1年以内に会社は、株式を売渡すよう請求することができます。価格は、当事者の協議または裁判所の決定によります。