稲井法律事務所

ご質問・ご相談

借家の保証人

Q友人がアパートを借りるについて、その連帯保証人になりました。私はどのような責任を負うことになりますか。

A借主が貸主に対して負う義務全般について保証人として責任を負うことになります。詳しく言いますと、借主の賃料支払義務は勿論、契約が終了した後の原状回復義務、契約終了時の明け渡し義務、敷金・保証金・更新料等の支払い義務、アパートを損壊した場合の修繕義務等です。

Qその責任はいつまで続くのですか。

A借主がアパートに住んでいる限り存続し、借主がアパートを退去しても、借主の義務が一つでも残っている限りは、借主の義務がすべて消滅するまで保証人の責任は免れません。

Q友人がアパートを借りた期間は二年間なのですが、二年経ったら保証人ではなくなるのではないですか。

A契約書に、「保証人は契約更新後には責任を負わない」と明記されていれば、期間終了と同時に保証人ではなくなりますが、そうでない限り、契約更新後も保証人としての責任を負います。

Q契約更新に当たり、友人は契約書を書き換えており、私は、その保証人欄に署名していないのですが、それでも保証人だというのですか。

Aそうです。契約更新後も保証人の責任を負うか否かについては、昔から、色々と議論がなされてきたところですが、最高裁判所は「期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない」と判示しています。

Q保証人を途中で辞めることは出来ますか。

A保証人が一方的に保証人を辞めることはできません。但し、例外的に、裁判所は「保証人が期間の定めなき保証契約を締結した後、相当期間を経過し、且つ、賃借人がしばしば賃料の支払いを怠り将来に於いても誠実にその債務を履行すべき見込みがないにも拘らず賃貸人が賃貸借契約の解除・明け渡し請求等の処置を為さない場合には保証人は賃貸人に対して一方的に保証契約を解除できる。」としています。

Q保証契約を解除しない限り、保証人は、如何なる場合にも、賃借人の債務を全面的に負担しなければならないのですか。

A前述の最高裁判所の判決によれば「賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合」には、保証人は責任を負わなくてもよいことになります。実際に裁判になった事例では、二年契約の賃貸借で、賃料の不払いがあったにもかかわらず、賃貸人が保証人に何も通知しないで契約を二回も合意更新し、賃料不払期間が四年六ヵ月に達して契約解除したという事案で、裁判所は「保証人の責任は二度目の更新時まで」として、責任を限定しました。