小規模宅地の特例
Q 個人が、相続や遺贈によって取得した財産の内、居住の用に供されていた宅地は、相続税の課税価格に算入すべき価格が減額されると聞きました。
A 「小規模宅地等の特例」と呼ばれている制度です。事業の用に供されていた宅地等にも適用がありますが、ここでは、居住の用に供されていた宅地について、特例の概要を説明します。
なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地については、この特例の適用はないので注意してください。
Q 対象となる宅地の要件はどうなりますか?
A 相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地が対象となります。
Q 「被相続人等の居住の用に供されていた宅地」は被相続人が所有していたことが必要ですか?
A 被相続人がその「宅地」を賃借していた場合にも、この特例の適用が受けられれ、借地権について、相続税の課税価格に算入すべき価格が減額されます。
Q 「宅地」が2以上ある場合には、すべてに適用されるのですか?
A 主としてその居住の用に供していた1の宅地等に限られます。
Q 「被相続人等の居住の用に供されていた宅地」は被相続人が居住していた場合に限られますか?
A 被相続人に限られず、「被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族」が居住していた場合も含まれます。
Q 誰が「被相続人等の居住の用に供されて宅地」を取得した場合に、特例の適用があるのですか?
A 「被相続人」の「居住の用に供されていた宅地」については、まず、①被相続人の配偶者が取得した時は、適用があります。
②被相続人の居住の用に供されていた1棟の建物に居住していた親族が取得した時は、「相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること」という要件を充足した場合に適用があります。
③それ以外の親族が取得したときは、「被相続人に配偶者がいないこと」「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた無被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと」「その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること」その他の要件を充足した場合に適用があります。
Q 「被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族」の「居住の用に供されていた宅地」については、どうなりますか?
A まず、①被相続人の配偶者が取得したときは、適用があります。
②「被相続人と生計を一にしていた親族」が取得したときは、「相続開始から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること。」という要件を充足した場合に適用があります。
Q 減額される割合はどの程度ですか?
A 80%です。
Q 特例の適用を受けられる免責には限度がありますか?
A 330平方メートルまでの部分に限られます。例えば、550平方メートルの土地の場合、減額される価格は、次の計算式により算出されます。
土地の評価額×(330㎡÷550㎡)×0.8
Q 特例の適用を受けるためには、どのような手続が必要ですか?
A 相続税申告書に、特例の適用を受ける旨の記載すると共に、小規模宅地等に係る計算の明細書や遺産分割協議書の写し等の書類を添付することが必要です。