Q 私の借りているアパートが競売されてしまいました。部屋を明け渡さなければならないでしょうか。
A そのアパートに抵当権が設定されていたと思いますが、一番最初の抵当権が登記された日よりも前にあなたが部屋を借りていたのであれば、あなたは新しい所有者に対して賃借権を主張して住み続けることができます。しかし、抵当権の登記の日よりも後に借りた場合、賃借権を主張することができなくなります。
Q 賃借権を主張できなくなるというのは必ず明け渡さなければならないということですか。
A そうとは限りません。新しい所有者が明け渡しを要求してきた場合には明け渡さなければなりませんが、新しい所有者が今まで通り住んでも良いと言ってくれれば、新しい所有者との間で契約を結んだことになり明け渡す必要はありません。
Q 新しい所有者が明け渡しを要求してきた場合には、すぐ部屋を明け渡さなければならないのですか。
A 元の大家さんとの契約内容如何によります。契約期間が3年以下となっている場合には、「短期賃借権の保護」といって、その契約期間の満了までは住んでいることができます。しかし、契約期間が3年を超えているときは短期賃貸借とは言えず明け渡さなければなりません。
Q 私の場合は、3年契約ですが、もう何回も契約を更新しているのです。それでも短期賃貸借といえるのですか。
A 契約が更新されていた場合でも「短期賃借権の保護」は受けられます。但し、建物が競売される時には、まず最初にその建物の登記簿に差押えの登記がなされるのですが、その差押えの登記の日以降に契約の期限が来た場合にはそれ以降の契約の更新はされませんので注意が必要です。なお、差押え登記の日よりも後に初めて契約をした場合は3年以下の期間であっても「短期賃借権の保護」は受けられないことになっています。
Q 私の隣の人は大家さんと契約書を取り交わしておらず契約期間について取り決めをしていないと言っていました。この場合は短期賃貸借とといえるのですか。
A はい、期間の定がない賃貸借でも短期賃借権の保護は受けられます。しかし、その場合は所有者からの契約の解約の申入れがなされ、契約時から3年以上たっている場合には、正当事由ありとして解約が認められる可能性が高いと思います。
Q もし私がアパートを引越すことになったときは、元の大家さんに差し入れておいた敷金は誰から返してもらったらよいのでしょうか。
A 原則として、敷金を預けた元の大家さんから返してもらうことになります。しかし、あなたが、新しい所有者に対して賃借権を主張できる場合か、少なくとも短期賃借権を主張できる場合には、新しい所有者から返してもらうことになります。