Q 友人が、不動産の仮差押を受けたというので、今日は仮差押についてご説明いただきたいのですが。
A わかりました。一般に債権を回収する場合、相手が任意に払ってくれない場合は、裁判で判決を得るか、公正証書で相手の財産を差押えして、強制的に回収するわけですが、判決を得るまでには時間がかかるので、その間に債務者の財産が散逸してしまっては、せっかく裁判で判決を得ても差押えるものがなくなってしまうので、裁判を始める前に一定の疎明(おおよその証明)をして、仮に差押えておく制度です。
Q 仮差押には保証金が必要ということですが。
A そうです。疎明だけですから、裁判をやって債権者が負けた場合、債務者が受ける損害を担保する為に、一定の保証金を供託するか、あるいは銀行の保証書(ボンド)を差入れるわけです。
Q 仮差押はそうした財産保全の効力だけでしょうか。
A 民事保全法の原則は、そういうことですが、現実には仮差押をすると、相手が新たに抵当をつけにくいので、早く解いてもらいたいから交渉が有利に運んだり、債務者が倒産したような場合に発言力が強くなります。
Q 仮差押は、不動産だけでなく、債権に対してもできるのでしょうか。
A 勿論できます。債権に仮差押がされますと、第三債務者(債務者に対し債務を有する者)は、供託することができます。これを執行供託といい、この後他の債権者はその差押手続きに配当加入できなくなります。
Q 不動産に仮差押をした後で抵当権がつけられた場合、優先関係はどうなるのでしょうか。
A 良いご質問です。民事執行法第87条2項に規定があり、仮差押の登記後に抵当権の登記をした者は、仮差押債権者が本案の訴訟において敗訴し、又は仮差押がその効力を失ったときに限り、配当等を受けることができることになっております。