稲井法律事務所

ご質問・ご相談

身元保証

Q 私は、Bさんに頼まれてBさんが会社に就職するについての身元保証人になりましたが、身元保証人というのはどういう責任があるのですか。

A 将来Bさんが故意又は不注意によって会社に損害をかけた場合に、当然Bさん自身が会社に対してその損害を賠償することになりますが、Bさん自身が賠償できないときに、身元保証人はBさんに代って会社に対して損害を賠償しなければなりません。

Q 身元保証人が責任を負わなければならない事例としてはどのようなことが挙げられますか。

A 裁判所にあらわれた事例を見てみますと、会社の金を使い込んでしまったというのが圧倒的に多く、そのほか背任行為や交通事故を起こして会社に損害をかけた事例などが見られます。

Q 身元保証人は会社の損害の全額を支払わなければならないのですか。

A 原則としてはそのとおりです。しかし、会社にも本人を監督する義務があることなどから、「身元保証に関する法律」によって、裁判所は、会社側がどの程度本人を監督していたか、身元保証人が保証人になった事情はどうか、会社側が損害を填補すべく損害保険をかけていたかどうか、など一切の事情を考慮して身元保証人が会社に対して支払うべき金額を決定できることになっています。実際に裁判になった例を見て見ますと、裁判所は多くの事案において、このような事情を考慮して身元保証人の責任を相当程度軽減しています。

Q 私はBさんが会社をやめるまで身元保証人としての責任を負うのでしょうか。

A 身元保証は期間の定めがあるもので最長5年間しか効力はありません。期間を超えて効力をもたせるためには会社と身元保証人の間で更新する旨の合意が必要です。
 期間定めのないものについては、身元保証人が相当期間経過後に一方的に解約することができます。解約しなくても3年又は5年(見習の場合)後には身元保証人でなくなります。

Q 私のほうから一方的に身元保証契約を解除することはできませんか。

A 期間の定めのあるものについては原則としてできません。ただし、Bさんが不正行為をしたことが判明したときや、採用条件と全く異なる職種に転属したときなどには、将来に向かって契約を解除することができます。