稲井法律事務所

ご質問・ご相談

借地非訟事件

Q 今度、借地上の建物増改築をしたいので、地主さんの処へ行ったところ、多額の承諾料を請求されました。どうしたらよいでしょうか。

A そのような場合、裁判所へ申し立てて妥当な承諾料を決めて貰うことができます。このような手続を借地非訟事件といい、訴訟ではありません。
 なお、注意すべきは、契約書に増改築禁止の文言がない場合、増改築に地主の承諾は必要ないことになっていますので、もう一度契約書を点検して下さい。

Q ありがとうございます。この場合、承諾料はどの程度のものが相場になっているのでしょうか。

A 大体更地価格の3~5%位で決まっている例が多いようです。

Q それでは、借地非訟事件には、他にどのような手続があるのでしょうか。

A 他には、借地条件の変更、借地権の譲渡、転貸許可(実行する前に許可を得ることが必要)、競公売に伴う借地権譲受許可、地主による賃貸人の建物、借地権の優先譲受申立、等があります。

Q 最後の優先譲受申立というのは、何でしょうか。

A 借地法9条の2では、借地人が、借地権の譲渡・転借人を特定して借地権の譲渡、転貸を申出た場合でも、地主が優先して譲受転借を申し出ることができることになっています。
 裁判所は、相当の対価(普通は更地価格の6割位)及び転貸の条件を定めて命ずることができることになっています。

Q それでは、他の手続の場合の相場も伺っておきたいのですが。

A 借地条件の変更、つまり普通建物所有目的から堅固な建物にする場合、借地権残存期間により異なりますが、更地価格の10%前後できめられている例が多いようです。
 借地権の譲渡、転貸の許可では、借地権の10%位、つまり、商業地では更地価格の8~9%位、住宅地では更地価格の7%位の承諾料の支払いを命ずる例が多いようです。

Q ありがとうございます。地代の改訂なども借地非訟でできるのでしょうか。

A 平成3年の借地借家法の改正に伴い、地代や家賃の改訂を請求するには、必ず調停を先に行わねばならず、当事者が調停委員に金額の決定を委ねれば、調停委員が額を定めてくれますし、この場合、鑑定費用はいりません。