Q 私達のマンションでは、管理費に余裕があるので、修繕積立金にまわしたいのですが、可能でしょうか。
A 管理費とは、共用部分、敷地、附属設備の維持・管理の費用や管理組合の運営費用など、管理組合がするマンション管理全般に使われる費用です。一方修繕積立金とは、将来行われる計画的修繕工事や災害などの場合の建物の修繕などに備えるために積み立てるお金で、マンション資産価値を守るものです。これらは、区分所有法上、専有部分の床面積の割合に応じて負担することになっています。
従って、管理組合の総会で決議(過半数)すれば、管理費を修繕積立金にまわすことが出来ます。
Q 管理費の消滅時効についてはどうなっていますか。
A 管理費の支払請求権も債権ですから、期間経過によって消滅時効で消滅します。
管理費等の支払請求権は、定期に金銭を支払わなければならない債権ですから、民法169条により5年で時効消滅します。
時効にかからせない為には、支払承諾書を作成して貰ってそのときから5年とするか、訴訟や支払督促で時効の中断をして、判決等が確定して時効を10年にする方法があります。
Q 専有部分を共有している人や、賃借人等占有者にはどうしたら良いでしよう。
A 共有所有者もマンションの共有部分、付属施設、敷地等の全部を使用して利益を得ていますから、持分割合だけでなく、その部屋の管理費・修繕費の全額の支払義務を負います。
管理費等は、区分所有者がその共用部分に応じて負担するものですから、賃借人が直接管理組合に負担義務を負うことはありません。
賃貸借契約書で負担することが定められている場合は、家主さんへの支払義務ということになります。
Q 区分所有者が譲渡や競売で変った場合、前の人の滞納分は後の人に請求できるのでしようか。
A 区分所有法8条、7条によると、区分所有者が①共用部分、建物の敷地、付属施設について他の区分所有者に対して有する債権(管理費用、公租公課、地代など)②管理規約または総会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権(管理費、修繕積立金、駐車場などの専有使用料)については、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても請求することができる、と定められています。維持管理のために必要な経費なので、回収が容易なように定められたもので、前の人の滞納分を請求できます。
元の滞納者も免除されるわけではないので、一方が全額を支払わない限り、債権は消滅しない。つまり不真正連帯債務の関係にあります。
但し、A→B→Cと転売された場合、区分所有法8条、7条は、共用部分についての債権は、区分所有権そのものが担保になっているもので、特定承継人とは、区分所有権を現に有する特定承継人に限られると判示した判例(大阪地判昭和62年6月23日 判時1258号102頁)があり、Bが自分の分を滞納してなければAとCにしか請求できないので注意が必要です。