Q 新聞で見ましたが、OECD(経済協力開発機構)加盟の35ヵ国中、母子家庭の相対的貧困率(中間値の二分の一以下の所得・・二一〇万以下)は、日本は50%超。子どもの相対的貧困率16%加盟国中、最下位と出ていましたが、なぜ、このようなことになるのでしょうか。
A それは、日本の離婚をめぐる法制度に理由があります。
日本は、双方が離婚届に捺印すれば離婚し、片方だけが親権者となりますが、諸外国では、離婚するのに、養育費の支払約束、面会交流の具体的約束、養育プログラムの提出が条件で、離婚後も共同親権ですので、離婚手続きは公的機関が関与します。
日本でも、家庭裁判所で離婚した場合の扶養料の支払は70%なのに対し、子を持つ離婚全体のうち、実際に養育費を支払うのは、約19%という統計があります。
Q どうすればよいのでしょうか。
A 根本的には、法制度を諸外国のように改める必要がありますが、とりあえず、出来ることから始めねばなりません。 面会交流の実際が貧困なのは、子供の為によくありません。
家庭裁判所では、「月一回面会する、その日時・場所及び方法は、双方で協議して定める」という約束で終わりますが、監護親の方に関係を断ち切りたいというニーズが強く、面会交流が継続しないという実情があるので、東京弁護士会では、平成二九年春から面会交流ADRを始めました。
夜間や土日も調停を行い、心理カウンセラーや子供の権利委員会(子供の本当の気持ちを引出す)もバックアップし、支援団体と組んで、実際の面会交流の手続や日時の調整をフォローし、面会交流を現実的なものにしようとします。ADRは、ベテランの弁護士が調停します。結果的に扶養料の支払も増えるはずです。
Q 面会交流をすると、子供にどのような影響を与えるのでしょうか。
A ①親の離婚に伴う子供の悲しみが癒されること。
②双方の親から愛されているという安心感が創られること。
③子が父母をモデルとして自我形成が可能なこと。片親に育てられていると、一方的な見方しか出来なくなるおそれがある。
④自尊感情の形成に役立つこと。
などがあるといわれています。
Q 子が会いたくないと言っている場合は、どうなのでしょうか。
A 母親に気をつかって会いたくないと言っている場合と、過去にDVがあって、本当に会いたくない場合があります。 前者の場合、心理カウンセラーの関与で、実際に遭うと喜々として遊ぶ例が多いと聞きます。
後者の場合、DVがあった非監護親をカウンセリングし、考え方を変えてもらいます。態度が変わった非監護親の実情を伝えることによって。面会につなげます。
Q 支援団体は、どんなことをするのでしょうか。
A 日程調整支援と引渡支援があります。子を引き連れて待合いの場所に行くときには、顔を合せたくない両親の場合、第三者の立会いがあったほうがスムースです。又、同居親のいやがること(相手親の悪口を言うなど)をやらないよう、コントロールする等です。待合いの場所は、気持ちをなごませるため、水族館やおもちゃランドを使う場合もあるそうです。
Q 実際に利用したい場合、どうしたら良いでしょうか。
A 東京弁護士会紛争解決センター(3581-2493)へ電話して下さい。
申立の用紙が送られてきます。一万円+消費税の申立手数料を支払うことで利用できます。