Q 労働契約法が平成20年3月から施行されたそうですが、どのような法律ですか。
A 労働契約法に関する基本的な事項を定めた法律です。民法には雇用契約についての一般的な規定があり、労働基準法には最低労働基準が定められていますが、それらのみでは個別の労働契約に関する紛争を解決するルールとして充分ではないとして、過去の裁判例を踏まえて労働契約に関するルールを一つの体系としてまとめ、個別の労働紛争の解決と予防に役立てようとしたものです。
Q どのような規定があるのですか。
A 大別して、①労働契約の原則等、②労働契約の成立及び変更、③労働契約の継続及び終了、④有期労働契約、に関して規定されています。
Q ①の「労働契約の原則等」について説明してください。
A まず第一に、労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し又は変更すべきものとされています。次に、労働契約は、就業の実態に応じて均衡を考慮して締結すべきこと、仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結すべきこと、労働者と使用者は誠実に権利を行使し義務を履行すること、権利の行使にあたって濫用があってはならないこと、が定められています。そして、労働契約の内容はできる限り書面により確認すべきものとし、更に、使用者は労働者の生命身体等の安全に配慮すべきことが明記されました。
Q ②の「労働契約の成立及び変更」についてはどのような規定がありますか。
A 労働契約は労働者と使用者の合意によって成立するものですが、労働契約を締結する時に合理的な労働条件が定められた就業規則が存在し、それが労働者に周知されていた場合には、その就業規則の内容が労働契約の内容となることが明記されました(但し、就業規則と異なる労働条件を合意した場合はそれが就業規則に抵触しなければ労働契約の内容となります)。
又、労働条件は合意により変更することができますが、変更の合意がなくとも、正式な手続きに則り合理的な内容で就業規則が変更され、これが労働者に周知された場合には、その就業規則により個別の労働契約が変更されることが明記されました(但し、就業規則の変更によっては変更されないと合意していた場合は別です)。
Q ③の「労働契約の継続及び終了」について説明して下さい。
A 使用者が労働者に対して行う出向命令、懲戒、解雇は、権利の濫用と認められるときや客観的に合理的な理由がないときには無効であると明記されました。
Q ④の「有期労働契約」についてはどのような規定がありますか。
A 有期労働契約については、使用者はやむを得ない理由がある場合でなければ契約期間が満了するまで解雇できない。又、必要以上に短い期間を定めて労働契約を反復して更新することがないように配慮しなければならない、と定められました。
Q 労働契約法は雇用契約のみに適用されるのですか。
A 雇用契約に限らず、請負、委任、その他の契約であっても、実態として使用従属関係が認められる場合には労働契約としてこの法律の適用を受けます。
Q 労働契約法はすべての労働者に対して適用されるのですか。
A 原則としてそのとおりですが、公務員には適用されず、又、使用者が同居の親族のみを使用する場合にも適用されません。